■10周年特別企画〜10年ひと昔
■はじめに
当HP「YUKI-GUNI」は2010年5月を持ってお陰様で10周年を迎えます♪
「YUKI-GUNI」10周年ということは私たまちゆきもデビュー10周年になるワケで……。
”10年ひと昔”とはよく言いますがせっかくの区切りなんで、昔の作品やその頃の心情なんかを思い出しながら、ココであれこれ書いてみようかな〜なんて思っております。

「昔」の定義がかなり曖昧ですが、まぁ主に”何となく初期”を中心に(笑)。
すべての作品を振り返るワケではなく、個人的に思い入れの深い作品が中心になって行くと思いますので、ちょっと興味がある方だけ読んで頂ければ幸いです。初期の頃の単行本を未読の方には何にも面白くないと思いますのでw
001「ホントの私」……エロマンガデビュー作
002「忘れ物ないですか?」……初めての和姦モノ
007「夏の日のアイスキャンディ」……現在まで続く和姦路線の祖
012「ミルクに砂糖、媚薬を少々」……ロリを完全に意識し出した初めての妹モノ
027「BI・HI・N」……たまちゆき史上最凶にして最悪の結末
033「秘密の賭け事」……読者受けを狙った確信犯的シリーズ
001「ホントの私」※「YUKI」名義
■「まんが愛!姫」2000年6月号掲載/東京三世社
■単行本『女の子の仕組み』(東京三世社)収録
 いつものように体育倉庫内で彼氏である先輩とエッチをする理子。犯されるようにするのが好きな理子を先輩は”本当は淫乱な変態マゾ女”とからかうが……そんなある日脱いだパンツを体育倉庫に忘れてしまい、誰にも見つからないうちにと早起きをして、学校に一番乗りでやって来た理子だったが、そこで……。


■エロマンガデビューへ向けて

 まぁ昔を振り返るに当たって避けては通れない……これが私のエロマンガデビュー作 001「ホントの私」でございます。
 「あれ? 結構今とテイストは変わらないんじゃない?」と思ったソコのあなた!……えぇ、確かにキャラクターの方向性は今と変わらないのですが、10年経って改めてお見せしても良いと思えたコマがココだけだったと言う……(エロシーン、特に裸の理子はこの世から抹殺したいくらい酷いです……ちょっぴり時代を感じるルーズソックスっぽいの履いてますね(笑))。

 最近の作風しか知らない方にはちょっと意外に思われるかもしれませんが、デビュー前のボクは「エロマンガは陵辱じゃないと意味がねぇ!!!!(*゚Д゚)(くわ」と何だか極端な思想を持っておりまして……(2009年末の忘年会で「華陵学園初等部」でご一緒している作家、陵こえりさんにも「陵辱モノのイメージが全くない」と言われましたw)。

 実はこの作品の前に試001「別れの情景」試002「放課後倶楽部」試003「罠とワナ」と3本の編集部持ち込み用の原稿を描きました……えぇ、すべてコッテコテの陵辱モノ(笑)。
 何で持ち込みするのに3本も描いたかといいますと、まず1本目は「ホントにボクにエロマンガが描けるのか?」の試し(笑)。2本目は「どのくらいのペースで1作描き上げることが出来るのか?」の試し。そして3本目は「別の話はすんなりと思い付くのか??」の試し……と、かな〜り慎重に進めて行ったんですね。えぇ、だってエロマンガで食べて行こうなんて、ソレ自体大冒険ですから(笑)。

 試002「放課後倶楽部」と試003「罠とワナ」の2本を持って、その当時陵辱系バリバリだった東京三世社の「まんが愛!姫」編集部に持ち込みしたんですねー(試001「別れの情景」はその時すでに賞味期限切れのヤバい絵でした(泣))。

 ……えー、これはホントに10年経った今だから言える話ですけど、何で陵辱系の中でも「まんが愛!姫」に持って行ったかと言いますと……まぁレベル的にボクでも載せてくれるんじゃないか? とおごり高ぶってたワケですよ。いや、見事に「もう1本違うのを描いて来てくれ」と玉砕しましたが(笑)。
 ページ数は16P、作風はこのままのテイストで……と言われて描いた「違うもう1本」が本作001「ホントの私」なワケですねー。

 エロマンガは描けた。ペース的にも1ヶ月に2本は描けそうだ。ネタはそのうち詰まるかもしれないけど、まだまだ描きたいモノはある……とりあえず作品を載せてくれる誌面さえあれば食べていけるかな? と高を括っていたのですが……いやいや、聞いたら東京三世社のスタート時の原稿料が酷いんですよ!(笑)。さっそく夢破れたり、です。
 001「ホントの私」が代原扱い(注1)ってこともあり、こりゃ月刊誌1本描いてるだけじゃ食えないと思いましたので、急いで次の作品を描いて違う雑誌に持ち込むことを決めました……。

 (注1※代原扱い:とりあえず編集部が預かり、雑誌に空きが出来たり他の作家が落とした場合に差し替えちゃう原稿のこと。いつ載るか解らないので当然次号予告等には記載されません……ちなみに「代原作家」とは上記の通りレギュラーで載せて貰えない作家のこと)

■食べるために

 そう言ったワケで当時「たのしい事務所」が編集をしていた「COMIC夢雅」に急いで持って行ったのが002「忘れ物ないですか?」です。ここの原稿料がかなり良く(……いや、あくまでも三世社と比べてのことで、普通にしたらまだちょい低めでしたけど(笑))、あぁ毎月描くのは「夢雅」にしよう!……つーか「愛!姫」もういいや♪と開き直ったボクは、3作目も「夢雅」用にと原稿を進めていました。

 そんな矢先、「愛!姫」編集長より1本の電話が……。
 「早速4月末発売の「6月号」に掲載したんですけど、ちなみに次はいつ頃描いて貰えるんですか?」
 ……気づいたらいきなりレギュラー扱いかよw 「いや、原稿料が安すぎる(注2)ので「愛!姫」ではもう……」と心の中で強く思っていたのですがさすがにそんなことは口に出せず、「あ…はい、じゃあ次の8月号には…」と約束。
 で描いたのが、「愛!姫」2作目となるド陵辱モノ 004「夜の京都にて」という作品。
 こんな調子でまだ駆け出しのぺーぺーのくせにいきなり「愛!姫」「夢雅」2誌でのレギュラー連載陣としてスタートしちゃったワケです。

 (注2※原稿料が安すぎる:一応東京三世社の名誉のために言いますが、何年か描くうちに段々と昇給(?)もしまして、終わりの方では他の出版社と同等くらいの金額を出して貰えてましたよ♪ ……いや、同等よりはちょっと下だったかな?(笑))

 001「ホントの私」は想像以上にエロマンガ業界の厳しい現実を思い知らされた、思い出したくはないけど忘れることの出来ない1本でございました(>_<)。



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■002「忘れ物ないですか?」※「YUKI」名義
■「COMIC夢雅」2000年6月号掲載/桜桃書房

■単行本『しるッ娘』(東京三世社)収録
 大学近くのアパートで半同棲している美久たくみくん。自他共に認める”天然で忘れっぽい”美久は現在女友達だけで行く沖縄旅行用の荷物を念入りに確認中。1週間美久のいない生活が寂しいたくみくんは、荷支度中の美久の身体をおもむろにまさぐり出すのだが……。


■ロリじゃない、陵辱でもない

 やっぱりコレも外せないだろうということで 001「ホントの私」でもちょこっと触れたコレ、002「忘れ物ないですか?」です。

 上記あらすじを読んで違和感を覚えた方もいらっしゃるかと思いますが……えぇ、実はデビュー当時は特にロリ作家でもなかったんです。もちろんそのうち描きたいな〜とは当時から思っておりましたが、商業誌のエロマンガでどこまでロリを描いて良いものやら、まだこの業界を解ってなかったんですね(笑)。おそらくその後1年くらいは低年齢でも高校生がほとんどだったと思います。

 「なぜ「COMIC夢雅」に?」という疑問も、001「ホントの私」とほぼ一緒……かなり分厚い雑誌にも関わらず作家の粒はバラバラでボクでも付け入る隙がありそうだったから(笑)
 編集部は編プロ(注1)の「たのしい事務所」というところ……や、正直当時は編プロって何? たのしい事務所ってふざけた名前は何?? と解らないことだらけでした。

 (注1※編プロ:編集プロダクションの略。いろいろな出版社から外部発注で雑誌編集のみを引き受けているところ。有名な編プロは現在ボクもお世話になっている「コミックハウス」ですかね〜。まぁコミックハウスは「茜新社」という独自の出版社を持ってますので、今では純粋な編プロっぽいイメージは薄くなっちゃいましたけど)

  「エロマンガは陵辱じゃないと意味がねぇ!!!!(*゚Д゚)(くわ」と豪語していたボクですが、早くも和姦モノだったりします(笑)……和姦モノの処女作です。
 いや、試作も含めてそれまでに4作の陵辱モノを描いて来たのですが、今後ずーっと陵辱ばっかり描いてても読者ばかりかボク自身も飽きるかもしれないな〜と。そして「COMIC夢雅」自体が何でもアリな雑誌っぽかったので、試しに和姦モノにチャレンジしてみたんですね。

■せちがらいエロマンガ業界

 ちなみに雑誌「COMIC夢雅」は007「夏の日のアイスキャンディ」を描いた号……デビューから4ヶ月連続で掲載されただけで、担当編集が「たのしい事務所」から桜桃書房本社編集部に変わってしまいました……「編集が変わっても是非「夢雅」で描いて下さいヨ!」なんて言われる実力があれば別なんでしょうが、当然そんな実力もなく(そもそもそんな仕組みはないか?)、次に「たのしい事務所」が請け負った雑誌にボクも雪崩式に移動です……その雑誌の名前が「コミックとろろ」(笑)。しかも版元は「愛!姫」と一緒の東京三世社

 編集への窓口は2つ(三世社編集部/たのしい事務所)持っているにも関わらず、どちらで描いても載る雑誌は東京三世社というまさに東京三世社専属マンガ家状態(注2)……あぁ、思い出しただけでも暗くなる〜(笑)。

(注2※東京三世社専属マンガ家状態:どちらで描いても版元が東京三世社なので、通算4冊目の単行本『妹ドロップ』からは両者の原稿を混ぜて、三世社本社の編集により単行本を出し始めました。「たのしい事務所」側としては編集費の中から原稿料は払っているのに自社編集で単行本が出せない作家は旨味がないと判断したんでしょう……2003年末、急に連絡が来なくなりました(笑)。で、その後程なくして結局会社を畳んじゃったようです。「たのしい事務所」で描いた原稿は2004年5月に通算7冊目の単行本『つるぺた天使』を出すタイミングですべて引き上げていたので、原稿を持ったまま編集者蒸発……との最悪の結末は回避出来ましたが)

 和姦モノの最初、そして「たのしい事務所」との付き合うきっかけを作ってくれた 002「忘れ物ないですか?」は、良くも悪くも今となってはいい思い出です……。



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■007「夏の日のアイスキャンディ」※「YUKI」名義
■「COMIC夢雅」2000年9月号掲載/桜桃書房

■単行本『しるッ娘』(東京三世社)収録
 一人暮らしをしている貧乏大学生のツインテールっ子。彼女の部屋にはクーラーがないため猛暑が続く中すっかり弱っていると、隣の部屋の男子学生さんが窓際でアイスを……恥を忍んで「そのアイス下さいっ」と申し出たが、窓越しに投げて貰ったアイスをキャッチミス。激しく落ち込む彼女を彼は自室に誘うが、そこには何と夢のアイテム”クーラー”が……!


■和姦モノの祖

 第1期(注1)「COMIC夢雅」最後の掲載作、007「夏の日のアイスキャンディ」でございます。

 (注1※第1期:「COMIC夢雅」をたのしい事務所が編集していた時期のこと(あくまでもボクの主観で)。”第1期”としたのはこの4年後に再び縁あって同誌で描くことになったから。いわゆる”第2期”の編集はオークラ出版(旧桜桃書房の親会社)の本社編集部……この後2005年末の休刊号まで結局描くことに)

 当時「愛!姫」では陵辱モノを、「夢雅」では陵辱or和姦のその時描きたい方を、というスタンスで描いていたのですが、これは「夢雅」で描いた和姦モノの通算3作目……キャラの性格を前面に出して多少強引でも押し切る力業(笑)……今思えばこの作品が現在まで続くいわゆる”たまちゆきの和姦モノ”の祖だったような気がします。少なくとも「あ、陵辱だけじゃなく和姦も描けそうだな〜」と確信を得たターニング・ポイントとなった作品です。
 この頃でも既に大学生にしては無理のある容姿ですけどね(笑)。

■ペンネーム「たまちゆき」について

 デビューよりここまで4,5ヶ月足らずでしたが、毎月必ず2本、エライ勢いで量産してきまして、編集さんとの電話では早くも単行本の話題が出るように。そこで以前よりの懸案だった「ペンネーム変更」を真剣に考え始めたのも、この作品が掲載された頃の話。

 「YUKI」というペンネームは001「ホントの私」掲載が急遽決まった時に「ペンネームは何にします?」と聞かれ、電話口でとっさに無難な名前が出ちゃった(笑)。このまま変えずに行っても良かったのですが、「YUKI」なんていう在り来たりじゃないちゃんとした名前で処女単行本は出したいな〜と常々考えておりまして、このタイミングで両編集部に相談。
 たのしい事務所は「別にいいですよ〜」的な感じでしたが、確か東京三世社編集部は難色を示しましてね。「せっかく名前が認知され初めて来た頃なのにもったいない」と。

 散々悩んだのですが”たのしい事務所”が「夢雅」から追い出された後、東京三世社を発行元とする新雑誌「コミックとろろ」を創刊する運びになっていたので、やっぱりタイミングとしてはココだろうと思い翌月の「愛!姫」に掲載された作品008「新しい旅立ち」より、ペンネームを現在の「たまちゆき」に改めました。
 
 本名とも遠からず近からず、書体にした時のバランスも悪くない……そして「たまちゆき」に決めた最大の理由が当時の「Yahoo」「Google」の2大検索サイトで検索を掛けた時、1件もヒットしなかったことです(笑)。

 007「夏の日のアイスキャンディ」は「YUKI」名義の最後、そしてその後の和姦作家としての「たまちゆき」の道筋を決めて行った中々に印象深い作品です。



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■012「ミルクに砂糖、媚薬を少々」
■「コミックとろろ」2001年1月号掲載/東京三世社

■単行本『しるッ娘』(東京三世社)収録
 エッチなことに興味津々なお年頃の妹・百合と、現在自分の彼女といかにしてキス以上に持って行くか思案中のお兄ちゃん。とある日、結局この日もキス以上行けずに夢破れたお兄ちゃんだったが、次の機会こそはとある”秘策”を練っていた! それは通販で買った超強力媚薬を飲ませること……しかも実験と称して投入されたのが、百合のコーヒーの中だった……。


■中○生はロリ…だよね?

 通算8号で廃刊となった悲運の雑誌「コミックとろろ」に掲載された作品 012「ミルクに砂糖、媚薬を少々」でございます。
 この作品は初めての「妹モノ」であると共に、初めてボクが完全に”ロリ”を意識して描いた記念すべき(?)作品です。

 2号前の「とろろ」に描いた 009「She's A Woman」(注1)という作品でも多少ロリを意識はしたのですが、設定の上では高校生……この作品の女の子・百合はさらにその下をイメージして描いてみました(もちろん直接的な描写があるワケではないですけど)。

 (注1※009「She's A Woman」:その後3年ほどの間に何作かシリーズで描いた日焼け少女「さくら」のシリーズ第1弾。当初の設定では高校生だったが、回を重ねる事にどんどん貧乳に……最後はつるぺた(笑))

■たまちゆきの「毛」論

 ……と言っても実はまだこの頃の女の子はそれなりのおっぱいしてるんですよね……何より毛が生えてるし(笑)。
 いや、当時この「毛」の有りなしで結構悩んだ覚えがあります……今でこそ「ロリに毛が生えててどうする!」何てそのスジのファン(いろんな意味で(笑))の方に怒られちゃいそうな気がしますが、当時ボクは”生えかけの毛”こそヤらしいのではないか !? と漠然と思っていたワケですよ。
 思春期特有の女の子の身体と言いますか、毛が生えちゃってるからこそ男の子に見られるのは恥ずかしいとか……ただ画力が足りず、今見るとどれもこれも結構生えきった女の子っぽいですけど(笑)。

 ちなみに初めての”つるつる”を描いたのがこの直後の作品 013「おもちゃ」。しかしその後の作品では再び毛有りに……一度つるるんっと描いては見たものの、個人的に何か足りないと思ったのでしょうか?(笑)。

 さらにその後、毛があったりなかったりが繰り返され、完全になくなったのが「妹モノ」アンソロジーで描き始めた頃……作品的には 026「お熱い休日」くらいからですかね〜。
 「妹」=「ロリ」という図式をビジュアル的に明確にするため、多分なくなっていったんだと思います。

 さらにどうでも良い補足情報……おそらく最後の毛有りマンガは 035「クールな関係・2」だと思います。この時期ホントはもうつるつるで描きたかったのですけど、023「クールな関係・1」で毛を思いっきり描いちゃってたんですよね……同じ単行本に収録する予定だったので、「1」では生えてるのに「2」でつるつるってワケにはいかなかったんですよ。
 とは言え、違う単行本に収録した続編 056「クールな関係・3」ではシレ〜っと剃っちゃいましたけどね(笑)。

 とにもかくにも、毛有りとはいえ012「ミルクに砂糖、媚薬を少々」 009「She's A Woman」と合わせて、現在のたまちゆきの”ロリの源流”的作品でございます。



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■027「B・HI・N」
■アンソロジー「ミルクぐるい」2001年7月/東京三世社

■単行本『女の子の仕組み』(東京三世社)収録
 生徒会長の一存で化学部が廃部に! 部員は当然生徒会長に詰め寄ったが、文化祭後までは猶予を上げると相変わらずの独裁者振り。文化祭での化学部の出し物は「お化け屋敷」……生徒会長は「化学部最後の雄姿だから」と部屋へ足を踏み入れるが、そこには部員総出の”罠”が待っていた!


■史上最凶にして最悪の結末

 ”ザーメン・エンジェル・シリーズ”という「最近どこで描いてるの?」とたとえ同業者の仲間に聞かれても答えづらいほどストレートな名のアンソロジーに描いていたことがありまして、この作品はシリーズ4冊目の「ミルクぐるい」に掲載された 027「B・HI・N」という作品。
 恐らくたまちゆきの10年を振り返った上で、史上最凶にして最悪の結末を向かえる陵辱劇

 この話には 032「B・HI・N・2」という続きがございまして、「1」でお化け屋敷の出口を示す最後の”看板”として白濁まみれでバイブを挿入されたまま宙づりにされ、「2」では撮影されたビデオをネタに更に輪姦の嵐……ラストは「化学部備品」と刺青を入れられてしまうという完全なバットエンド。
 んー、冷静に今振り返ると、結構ブっとんでますね(笑)。

 これはデビューから1年半くらい経った頃の作品で、ロリモノはよりロリに、ハッピーな話はよりハッピーにと突き詰めて行った挙げ句、陵辱モノもより非道い話に……と、ちょうどエスカレートしていった時期だったのかもしれません。
 その後この陵辱系の流れは 034「長い夜〜その1」から全6話シリーズへと向かうのですが、結局今作のような突き抜けた展開には出来ませんでしたねー(特に連作にしちゃうとキャラに感情移入しちゃうんですよね、オレがw)。

■「BI・HI・N・3」待望論

 この作品はその後の単行本アンケートでも強く続編を求める声がありました……と言っても多分ごく一部の陵辱系好きな読者さんだけで、作品の評価自体はボクのファンの中でもかなり賛否両論(笑)。
 こういった作品が好きな人はホントに好きですからね。
 えぇ、ボクも”陵辱にするならトコトン行っちゃえ!”と思うタイプなので、キモチは解ります。

 キモチは解りますが……「愛!姫」→「ザーメン・アンソロジー」とバリバリの陵辱系を求められていた執筆の場が、翌年創刊された雑誌「コミックミニモン」に主戦場を移すことにより、ボクの作風もより”ロリ”寄りの方向にシフトして行くことに。
 もちろんその後「ミニモン」でも「COMIC桃姫」等でも陵辱系を描いてますが、個人的にもロリをより意識して描くのが楽しくなり、和姦モノがドンドン増えていきました。
 世間的にもたまちゆきが「陵辱作家」という印象から「ロリ作家」に変わって行った頃かもしれません。

 と言うワケで、もちろん「BI・HI・N・3」はありません。ですが今更ながら、偶にはトコトン行っちゃう陵辱モノも描いてみたいな〜と思ったりもします。同人誌ででも描くか……??

 027「BI・HI・N」はたまちゆきの陵辱系のピーク、この後はなだらかに落ちて行ったその頂点だった気がします(笑)。



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■033「秘密の賭け事」
■「COMIC桃姫」2001年10月/富士美出版

■単行本『微乳少女主義』(富士美出版)収録
 悪い噂を耳にする……自分の妹明日香が、放課後の体育倉庫で何やら良からぬコトをしていると……が現場に向かうと、何と明日香は一定時間の間に何人クチで抜けるかということを、あろうことか賭けの対象として金儲けしていたのだった! もう金輪際やめろと戒める兄に、エッチもお金も大好きな明日香は「じゃあどっちかお兄ちゃんが援助してよ」と……果たして援助することになったのはどっち?


■得意ジャンルに全力投球

 たまちゆき初期の作品を本人が振り返る上で、どうしても外せないのがコレ033「秘密の賭け事」から始まる明日香の「○○○」シリーズ
 このシリーズは「COMIC桃姫」で 033「秘密の賭け事」 037「秘密の路地裏」 039「秘密の願い事」と3話掲載された後、その2年後に 070「秘密の更衣室」、そして雑誌を変えて2007年「COMIC RIN」に 137「秘密の世話係」、で、何と何とつい最近2009年冬コミ用の同人誌に 191「秘密のデート」を描きおろすという、たまちゆき史上最も息の長いシリーズとなっております。

 とりわけ初回のコレが評判良かったらしく、担当さんと話し合いながら意図的にシリーズ化して行ったワケですが……えぇ、ちょっとヤらしい言い方になりますが、描いている側としても「これは受けるだろうなぁ」と確信しながら描いていた初めてのシリーズでした。

 完全にロリを意識した容姿、コロコロ変わる表情、エッチが大好きでお兄ちゃん好き好きな兄妹モノ……少なくとも当時一番得意としていたキャラの作り方を得意ジャンルに全力投球したシリーズだったため、逆にこれが受けなかったら「オレ、もうダメだな…」と(笑)。

■「COMIC桃姫」との出会い

 033「秘密の賭け事」は富士美出版から発売されている雑誌「COMIC桃姫」(つい先日休刊…)での6作目の掲載作品。
 東京三世社、たのしい事務所の2カ所で仕事をしていた当時のボクですが、東京三世社専属マンガ家(002「忘れ物ないですか?)参照)状態となっていたため何となくの閉塞感を感じていたワケですよ。お世辞にも売れている雑誌とは言えないし、こういっちゃ何ですが掲載作家のレベルもどんぐりの背比べな感じで(自分も含めて)。

 そこで今後の自分のレベルアップを図るため、初めて「今の自分の実力より上であろう雑誌」に投稿をしようと考えて白羽の矢を立てたのが、2000年末頃、当時月刊誌として創刊したばかり、4号目くらいが発売されたばかりの「COMIC桃姫」でした。

 で、2誌の連載の合間に持ち込み用として描いたのが 016「Lesson1」(注1)という作品。
 結局この作品は「桃姫」的には不採用だったのですが、その後わざわざ近所まで編集さんが足を運んで下さり打ち合わせを……いや〜、掲載の決まっていないぺーぺーの作家のところまでわざわざ足を運んでくれたのは当時ホントに嬉しかったな〜。今までの編集部にはない対応でした(笑)。

 (注1※016「Lesson1」」:たまちゆき初期作品にある単行本未収録作2本の中の1つ。「桃姫」で投稿作がボツになったと東京三世社の編集部にお話したところ、「せっかく描いたのでウチの雑誌に載せましょう!」と思いっきり転用されました。原稿料も出たのでボク的には大満足(笑)……ただそんな経緯があった為、単行本には敢えて未収録に。……ちなみにもう1つの未収録作品は 019「GROWING」という作品。今後も二度と陽の目をみることはないでしょう)

 編集さん的には 016「Lesson1」は女の子の髪の毛が白だったせいもあるが、何となく全体的に白い印象がある……と言うわけで思いっきり画面を黒くするため、髪の毛はもちろん黒、服も黒、黒タイツも履かせ、ストーリーも思いっきり陵辱に振り向けたダーク系 020「契りの季節」というのを描きました。ホント、やることが極端なんですよねw
 結局これが「COMIC桃姫」でのデビュー作。その後 028「Summer Season」031「スイカ」などロリ和姦系を織り交ぜつつ 033「秘密の賭け事」に至るワケです。

■そして「COMIC桃姫」との別れ

 ……どうせなら一気に書いちゃうか。
 「桃姫」では特に「○○を描いてくれ」みたいな縛りがなく、すごく自由に楽しく描かせて貰っていました。 033「秘密の賭け事」の後も 040「ご褒美をください」065「可愛いあの子」078「かりあげムスメ」096「妄想エレベーター」等、今でもお気に入りの作品をいくつも描いて来た雑誌でした……が!
 えぇ、2005年前半の「COMIC桃姫」のロリ撤退宣言であります。
 2004年末にイヤな事件がありまして、ロリモノはまずいんじゃないかという風潮が編集部内でも問題視されて来たみたいなんですね。

 「桃姫」掲載作の中でもコミックハウス経由でのロリ系掲載作家が段々と消え始め、版元直属の編集部とやりとりしていたボクが、いわば最後の砦……最後のロリ作家だったんですよ(笑)。
 ロリモノを描くのなら東京三世社の「コミックミニモン」を始め、その頃には創刊されたばかりの「COMIC RIN」、松文館のロリアンソロともお付き合いがあったので、富士美出版から3冊目の単行本を出す直前だったこともあり編集部ともいろいろと話し合った結果、余所で単行本を出しても良いとの条件で「桃姫」とはお別れすることになりました。

 最後の掲載作は2005年の6月号 108「ピュアな2人の交換日記」でしたね。担当編集さんとは友達のように仲良くして貰ってましたし、この別れはかなり寂しかったですね〜。

 野球に喩えるなら 033「秘密の賭け事」は狙ったところに投げ、狙ったところで三振が取れた、ちょっとボクに自信を持たせてくれた作品。キャッチャーである担当さんと喜びを分かち合いながら日々邁進し続けながらも、シーズン半ばにして電撃トレードに出されたボクの哀しき「COMIC桃姫」との秘話でありました。



※ひとまず「10年ひと昔」はコレでおしまい〜。また暇になったら書くかもしれないです※



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